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発達障害って何?

執筆者の写真: mari koga
mari koga
19 時間前
読了時間: 7分

「もしかして、自分は発達障害なのかもしれない」


最近では、そんなふうに考えたことのある方も少なくないかもしれません。

SNSやインターネットでも、ADHDやASDといった言葉を目にする機会が増えました。「忘れ物が多い」「人付き合いが苦手」「こだわりが強い」といった特徴を紹介するチェックリストも、簡単に見つけることができます。


では、そもそも「発達障害」とは何なのでしょうか。


発達障害は、育て方によって生じるものではありません


発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の違いが関係していると考えられています。

「親の育て方が悪かったから」「子どもの頃に甘やかされたから」「本人の努力が足りないから」

そうしたことによって発達障害になるわけではありません。


また、発達障害は子どもだけのものではありません。発達上の特徴は幼少期から存在しますが、周囲から求められることが増えたり、それまでとは違う環境に置かれたりすることで、後になって困難がはっきりすることもあります。


そのため、進学や就職、結婚などをきっかけに困りごとが増え、大人になってから初めて「もしかして、自分には発達障害があるのでは」と考える方もいます。


発達障害にはいくつかの種類があります。ここでは、よく知られているASD、ADHD、SLDについて簡単にご紹介します。


ASD(自閉スペクトラム症)


ASD(自閉スペクトラム症)には、大きく分けて二つの領域の特徴があります。

一つは、社会的なコミュニケーションや人との関わりに関する特徴です。


たとえば、会話のやりとりがうまく続きにくい、相手の表情や身振りといった言葉以外の情報を読み取ることが難しい、その場や相手に応じた関係の作り方に苦労する、といったことがあります。


もう一つは、行動や興味などの範囲が限定されていたり、反復的であったりする特徴です。

同じ動作や言葉を繰り返す、決まった手順や習慣が変わることに強い苦痛を感じる、特定のことに非常に強い関心を持つ、といったことがあります。また、音や光、触覚などの感覚にとても敏感だったり、反対に感じにくかったりすることも、この領域に含まれます。


ただし、こうした特徴の現れ方や程度は、一人ひとり大きく異なります。


人との関わりを積極的に求める方もいれば、一人で過ごすことを好む方もいます。予定変更が非常に苦手な方もいれば、感覚の敏感さのほうが生活に大きく影響している方もいます。

「ASDの人はこういう人」と、一つの人物像で表すことはできません。


ADHD(注意欠如多動症)


ADHD(注意欠如多動症)は、「不注意」と「多動性・衝動性」の特徴が、生活や発達に影響する形で持続しているものです。


不注意の特徴としては、

  • 細かなところを見落としやすい

  • 一つのことに注意を向け続けることが難しい

  • 話しかけられていても、聞いていないように見えることがある

  • やるべきことを最後までやり遂げることが難しい

  • 物事を順序立てたり、整理したりすることが苦手

  • 忘れ物やなくし物が多い

  • 日々の予定や用事を忘れやすい

といったことがあります。


多動性・衝動性については、じっとしていることが難しい、話し続けてしまう、相手の話が終わる前に答えてしまう、順番を待つことが苦手、といった形で現れることがあります。

ただし、ADHDの現れ方も人によって異なります。


不注意の特徴が目立つ人もいれば、多動性・衝動性が目立つ人、その両方を持つ人もいます。また、子どもと大人では、同じ特徴でも現れ方が違って見えることがあります。


SLD(限局性学習症)


SLD(限局性学習症)は、読むこと、書くこと、数学など、特定の学習技能を身につけたり使ったりすることに、持続的な困難がみられるものです。


たとえば、

  • 文字や単語を正確に、あるいは滑らかに読むことが難しい

  • 読んだ内容を理解することが難しい

  • 正しく綴ったり、文章を書いたりすることが難しい

  • 数の感覚や計算を身につけることが難しい

  • 数学的な推論に苦労する

といった形があります。


こうした困難は、必要な支援や指導を受けても持続し、学校生活や仕事、日常生活に影響を及ぼします。


大切なのは、「勉強が苦手なこと」そのものがSLDなのではないということです。

どのような学習上の困難があり、それがどの程度続いているのか、年齢から期待される水準と比べてどうなのか、そして知的発達の問題や視覚・聴覚の問題、学習する機会が十分でなかったことなど、ほかの理由ではよりよく説明できないかを含めて総合的に判断します。


「スペクトラム」ってどういうこと?


ASDの「S」は、Spectrum(スペクトラム)を意味します。

スペクトラムとは、ある特徴が「ある人」と「ない人」が、境界線によってくっきり二つに分かれているという意味ではありません。


たとえば、

「急な予定変更が苦手」「忘れ物をしやすい」「人付き合いをすると、とても疲れる」「好きなことには何時間でも集中できる」「大きな音が苦手」

こうしたことは、発達障害のある人だけに起こることではありません。

程度の差はあっても、私たちはそれぞれに得意なことと苦手なことを持っています。

いわば、誰にでも「発達の凸凹」があります。

ですから、

「忘れ物が多いからADHD」「人付き合いが苦手だからASD」

と、一つの特徴だけで発達障害かどうかを判断することはできません。


「発達の凸凹」があることと、「障害」があること


では、誰にでも発達の凸凹があるのなら、どこからが「障害」なのでしょうか。

これは、単純に線を一本引いて決められるものではありません。

発達上の特徴が強く、それによって学校や仕事、家庭生活、人間関係などに大きな困難が生じている場合には、「障害」として捉えられることがあります。


一方で、似たような特徴があっても、それほど困らずに生活している方もいます。

また、置かれている環境や周囲との関係によって、困りごとの現れ方が変わることもあります。

なぜ、同じ人なのに、ある場所ではそれほど困らず、別の場所ではひどく疲れたり、うまくいかなくなったりするのでしょうか。


この「発達特性と環境との関係」については、別の記事でもう少し詳しく考えてみたいと思います。


ネットのチェックリストだけでは分からないこと


「自分は発達障害かもしれない」と思って、インターネットのチェックリストを試したことがある方もいるかもしれません。


チェックリストは、自分の特徴について考えるきっかけにはなります。

けれども、

「たくさん当てはまったから発達障害」「ほとんど当てはまらなかったから発達障害ではない」

と、それだけで判断できるものではありません。


実際に発達障害について考えるときには、今ある特徴だけを見るのではなく、

その特徴はいつ頃からあったのか。子どもの頃はどうだったのか。どんな場面で困りやすいのか。生活にどのくらい影響しているのか。そして、その困りごとはほかの要因では説明できないのか。


さまざまな情報を集めながら、総合的に考えていきます。


心理検査も、そのために使われる方法の一つです。


検査の数字だけで「あなたは発達障害です」と決めるものではなく、その人がこれまでどのように生活してきたのかという情報などと合わせながら、その人の特徴を理解していきます。


診断を受けたいと思ったら


「自分が発達障害なのか、きちんと診断を受けたい」と思う方もいらっしゃるでしょう。

診断を希望する場合には、発達障害の診療を行っている医療機関を受診するという方法があります。発達障害の診断は医師が行います。


診断を受けることで、これまで経験してきた困難を理解する手がかりが得られたり、必要な支援につながったりすることもあります。


「どうして自分だけ、こんなことができないんだろう」

長い間そう思ってきた方にとって、診断名を知ること自体が、自分を捉え直す一つのきっかけになることもあるでしょう。


けれども、診断名そのものが、今抱えている苦痛をすべて和らげてくれるわけではありません。

大切なのは、診断名があるかないかだけではなく、

「自分には、どんな特徴があるのだろう」「どんなときに困りやすいのだろう」「反対に、どんなときなら自分の力を発揮できるのだろう」「自分が少し楽に生きていくために、どんな工夫ができるだろう」

と、自分自身について知っていくことなのだと思います。


診断名は、自分を理解するための手がかりの一つです。

その手がかりも使いながら、自分の特徴を知り、自分の持っている力を発揮するためにはどうすればよいのかを考えていく。

それが、今よりも少し生きやすくなることにつながるのではないでしょうか。




ご自身の発達特性について考えてみたい方へ


「自分にはどんな特徴があるんだろう」「もしかしたら、発達障害かもしれない」

そんなふうに感じている方も、ご相談いただけます。

アンダンテ相談室では、診断名をつけることではなく、これまでの経験や現在の困りごとを一緒に整理しながら、ご自身の特徴について理解していくことを大切にしています。


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