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発達障害って治るの?

執筆者の写真: mari koga
mari koga
6 日前
読了時間: 6分

「発達障害って、治るんですか?」

発達障害について考えるとき、そんな疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

精神科で診断を受けたり、薬を処方されたりすると、何かの病気を治療しているように感じるかもしれません。

けれど、発達障害は、風邪のように治療によって原因を取り除き、元の状態に戻すという性質のものではありません。

では、発達障害とは何なのでしょうか。そして、治るものではないのなら、なぜ医療機関を受診するのでしょうか。


発達障害は、治るもの?


発達障害は、生まれつきの脳の発達や働き方に関係する特性によって、生活の中に困難が生じる状態です。

代表的なものに、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などがあります。

現在、これらの発達特性そのものをなくす「根本的な治療法」は確立されていません。

ただし、これは「一生、何も変わらない」という意味ではありません。

成長とともに特性の現れ方が変わることもありますし、環境や周囲の理解、適切な支援によって、生活上の困りごとが小さくなることもあります。


発達特性そのものがなくなることと、困りごとが軽くなることは、別の話なのです。


では、薬は何のために飲むの?


発達障害のある方が、精神科で薬を処方されることがあります。

例えば、ADHDでは、不注意や多動性・衝動性といった症状を軽減する薬が使われます。

また、ASDのある方に対して、強いイライラや不安、睡眠の問題など、生活を難しくしている症状に薬が使われることもあります。

こうした薬は、発達特性そのものを消してしまうためのものではありません。

日々の生活を少しでも送りやすくするための治療なのです。

薬が必要な人もいれば、必要としない人もいます。

そして、薬だけでなく、環境を整えたり、自分に合った対処法を見つけたりすることも、大切な支援の一つです。


「発達の凸凹」と「発達障害」は、同じではない


私たちは誰もが、得意なことと苦手なことを持っています。

物事を覚えるのが得意な人もいれば、細かいことに気づくのが得意な人もいます。

一方で、予定の変更が苦手だったり、忘れ物が多かったり、人とのやり取りに疲れやすかったりする人もいるでしょう。

こうした得意・不得意の偏りを、「発達の凸凹」と表現することがあります。


発達の凸凹は、誰にでもあります。けれど、発達の凸凹があることと、発達障害があることは同じではありません。


例えば、周囲の音が気になりやすい人がいたとします。

静かな場所では問題なく仕事ができても、電話が鳴り続け、人の話し声が飛び交う職場では、集中することが難しくなるかもしれません。

また、予定の変更が苦手な人も、見通しを持って働ける環境では、それほど困らずに過ごせることがあります。

つまり、同じ特性を持っていても、置かれた環境によって、困りごとの大きさは変わるのです。


発達の凸凹そのものが、必ずしも障害になるわけではありません。


その特性によって、日常生活や社会生活に大きな困難が生じるとき、発達障害という診断が検討されます。

もちろん、診断には発達の経過や症状の特徴など、さまざまな基準があります。環境とのミスマッチだけで診断が決まるわけではありません。

ただ、ここで大切にしたいのは、困りごとは、その人の特性だけで決まるものではないということです。

だからこそ、本人に「苦手なことを克服しなさい」と求めるだけでなく、環境の側を調整することにも意味があるのです。


「発達障害は個性」で片づけたくない


発達障害について、「それも個性だよ」という言葉を耳にすることがあります。

その言葉が、自分の特徴を肯定的に受け止めるきっかけになることもあるでしょう。

けれど、実際に困っている人にとっては、どうでしょうか。


忘れ物を繰り返して、何度も叱られてきた。周囲に合わせようとするだけで、ひどく疲れてしまう。頑張っているのに、どうしてもできないことがある。

そんな苦しさを抱えている人に、「それも個性だから」と伝えるだけでは、十分ではないと思うのです。


特性を否定しないことと、困りごとを軽く扱わないこと。


どちらも大切にしたいと考えています。


治らないのなら、なぜ精神科に行くの?


精神科を受診する目的は、必ずしも発達特性を「治す」ことではありません。


例えば、診断や専門的な評価を受けることで、

  • 自分がなぜ困っていたのか、理解する手がかりが得られる

  • 自分に合った対処法や環境調整を考えやすくなる

  • 必要な医療や福祉、学校・職場での支援につながりやすくなる

  • 似た経験を持つ人や、当事者の情報にアクセスしやすくなる

といったことがあります。


また、発達特性による困難が重なる中で、不安や抑うつ、不眠などが生じている場合には、それらを治療することも重要です。

一方で、発達特性があっても、日常生活に大きな困りごとがなく、医療的な支援を必要としない方もいます。

発達特性があるから、必ず精神科に通わなければならないわけではありません。

大切なのは、その人が今、何に困っていて、どのような支援を必要としているのかということです。


診断名は、ゴールではない


診断を受けることで、長年の疑問が解けたように感じる方もいます。

一方で、診断を受けることに戸惑いや抵抗を感じる方もいるでしょう。

診断名は、その人のすべてを説明するものではありません。

同じADHD、同じASDという診断であっても、得意なこと、苦手なこと、これまでの経験、生活している環境は一人ひとり異なります。

大切なのは、診断名をつけること自体ではなく、その人自身への理解を深め、これからの生活を考えていくことではないでしょうか。


発達特性を無理になくそうとするのでもなく、「個性だから」と困りごとを見過ごすのでもなく。

その人にとって、少しでも暮らしやすい方法を一緒に探していくことが大切なのではないでしょうか。


ご自身や、お子さんの発達特性について考えてみたい方へ


「どうして自分は、こんなに疲れやすいんだろう」「周りの人にはできることが、自分には難しい」

あるいは、

「子どもの苦手なことに、どう向き合えばいいんだろう」「この子が少しでも過ごしやすくなるために、何ができるだろう」

そんな思いを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

アンダンテ相談室では、ご自身の発達特性について考えたい方へのご本人カウンセリングと、お子さんの発達や関わり方について相談したい方への保護者カウンセリングを行っています。

診断名の有無にかかわらず、日々の困りごとや、これまでの経験を一緒に整理していくことができます。

大切なのは、苦手なことを無理になくそうとすることではなく、その人の特性を理解し、より暮らしやすい方法を探していくこと。

そのための時間として、カウンセリングを利用していただけたらと思います。


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