心に小さなミキティを飼うということ
「心に小さなミキティを飼っています。」
バラエティにひっぱりだこの、ミキティこと藤本美貴さん。
メンタルが強い人として有名ですよね。
ハロー!ミキティチャンネルってご存じですか?
YouTubeで、ミキティさんが人生相談に答える動画があります。
そこで、ときどき見かけるコメントがあります。
「心に小さなミキティを飼っています。」
私は、この表現がとても好きです。
なぜなら、この何気ない一言には、心理学の大切な考え方が詰まっているように思うからです。
「ミキティになる」ではなく、「飼う」
この表現の面白いところは、
「私はミキティです。」
でもなく、
「ミキティみたいになりたい。」
でもないことです。
「飼っています。」
この絶妙な距離感が、とてもいい。
困ったとき、心の中からミキティを呼び出す。
「こんなことで悩まなくていいじゃん。」
「やりたいなら、やればいいじゃん。」
「気にしすぎ!」
そんな声が、自分の中から聞こえてくる。
目の前にミキティがいるわけではないのに、心の中では対話ができる。
実は、この心の働きは、心理学でも大切にされてきた考え方と重なります。
心理学では「内在化」といいます
心理学には、「内在化(internalization)」という考え方があります。
内在化とは、大切な人との関係や、その人の考え方、感じ方、支えられた体験を、自分の心の中に取り込んでいくことです。
そして、その人が目の前にいなくても、その人との関係が自分を支え続ける。
例えば、
落ち込んだときに、母親から言われた優しい言葉を思い出す人。
迷ったときに、「恩師ならどう考えるだろう」と想像する人。
亡くなった家族の言葉に励まされる人。
それらも、内在化として理解することができます。
「心に小さなミキティを飼っています。」
という言葉も、私はその一つなのではないかと思っています。
心の装備を整える
私は、内在化とは、
心の装備を整えていくことなのだと思っています。
人生には、自分一人では乗り越えるのが難しい出来事があります。
そんなとき、心の装備があると、少しだけ歩きやすくなります。
落ち込んだときには、自分を守ってくれる盾。
勇気が出ないときには、背中を押してくれる剣。
迷ったときには、進む方向を示してくれるコンパス。
不安なときには、「大丈夫」と思い出させてくれるお守り。
どれも、人生を歩くための心の装備です。
そして、その装備は、本を読んで身につくこともあれば、誰かとの出会いの中で育つこともあります。
ミキティの言葉が、誰かにとって心の装備になっている。
だからこそ、「心に小さなミキティを飼っています。」という表現が生まれるのかもしれません。
カウンセリングでも起きていること
私は、カウンセリングでも同じことが起きていると思っています。
カウンセリングは、答えを教えてもらう場所ではありません。
セラピストが問題を解決してくれる場所でもありません。
対話を重ねる中で、
「こんな見方もあるんだ。」
「焦らなくてもいいんだ。」
「先生なら、こんなとき何て言うだろう。」
そんな心の働きが少しずつ育っていきます。
やがて、セラピストが目の前にいなくても、自分の中でその対話を続けられるようになる。
それもまた、内在化です。
持ち帰るのは、セラピスト本人ではありません。
セラピストとの関わりの中で育った、心の装備です。
心の中に、小さな誰かを
「心に小さなミキティを飼っています。」
最初は、くすっと笑ってしまうような表現だと思っていました。
でも、その一言には、
人は誰かとの関係の中で支えを受け取り、
その支えを少しずつ自分の力に変えていけるという、心理学の大切な考え方が込められているように思います。
カウンセリングもまた、悩みをなくす場所ではありません。
人生を歩いていくための心の装備を、一つずつ整えていく場所なのかもしれません。
そしていつか、困ったときにふと、
「先生なら、何て言うだろう。」
そう思い出してもらえたなら。
それは、心の中に小さなセラピストが育ってくれたということ。
私は、そんな関係を築けるカウンセラーでありたいと思っています。



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